食品

腸内の腐敗を押さえる乳酸菌

ご存じの方も多いでしょうが、私たちの腸内には数百種類の腸内細菌が存在しています。
腸内細菌が腸内で行うことはそれぞれ。
そしてその働きに応じて善玉菌と悪玉菌に分類されています。
善玉菌は私たちの健康に役立ち、悪玉菌は健康を損なうとされています。

この善玉菌と悪玉菌という考え方が生まれたのは19世紀。
イリヤ・メチニコフ氏が発表した「自己中毒説」が元といわれています。
小腸の中で有毒物をつくる化合物が見つけられたことから、
それが腸に吸収されることで老化や健康被害が出ると考えたのです。

腸内でおこる腐敗が寿命を縮め、それをなくすことができれば長寿になれる。
こんな仮説をもとに研究を重ね、長寿国ブルガリアの人たちがヨーグルトを食べることで
腸内の腐敗物質を減らしていることを突き止めました。

ブルガリア・・・ヨーグルト・・・もうおわかりですね。
このとき発見されたヨーグルト内の菌は、
ブルガリアの名前をそのままとって「ブルガリア菌」と名付けられました。
善玉菌には皆さんもよくご存じのビフィズス菌の他にも
ラクトバチルス、フェカリス、フェシウムなど様々なものがあります。

乳酸菌といえばビフィズス菌、ビフィズス菌といえばヨーグルトというように
乳酸菌は乳製品に含まれていると思われていますが、実際はもっといろいろな食品に含まれています。
その代表的なものがキムチ、ピクルス、ザワークラウト、日本の漬け物や鮒寿司などです。

人間は古くから細菌類と上手に付き合ってきました。
腸内の腐敗物質精製を抑制するということが科学的に発見されたのは19世紀ですが、
それよりずっと前から乳酸菌は経験則から利用されてきました。

上に挙げた漬け物や鮒寿司は乳酸菌によって独特の風味や味わいがつくのと同時に、
乳酸菌によって酸性度(pH)が酸性に傾くことで、微生物の繁殖が抑えられ、長期保存が可能になっています。
このほかにもワインの発酵に一役買っていたり、整腸薬などにも使われています。

人間と乳酸菌の良い関係は、これまでも、そしてこれからも続いていくのです。

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